私は手法を探す際、シンプルな手法を重視しています。(参照:システムトレードの手法探し)
本当に優位性がある手法であれば、シンプルなルールでも確認できます。
優位性が確認できれば、本格的に細かな検証に入ります。
ここでは、本格検証前の簡易的な調査について紹介します。
今回は、『プライスアクション(大陽線・大陰線)』の検証について紹介します。
大陽線・大陰線のドテン売買
周辺のロウソク足と比較して、実態の長いロウソク足を大陽線・大陰線と言います。
大陽線・大陰線は、上昇トレンド・下降トレンドのシグナルと言われています。
トレンド系のトレードですので、ドテン売買が適しています。
ドテン売買とは、上昇シグナルで買い、下降シグナルで売りを繰り返す売買方法です。
参考
トレンド系はたまに現れるトレンドを逃さない事が重要であり、絶えず市場に留まるドテン売買と相性がいい
また、適当に利確/損切を設ける手法は、それ自体がパラメータとなり優位性が見えにくくなります。
少なくとも優位性検証では、意味がはっきりしない利確/損切はない方がいい。
大陽線・大陰線に上記を当てはめると
大陽線が発生すると、売りトレードを決済し、買いエントリーする。
大陰線が発生すると、買いトレードを決済し、売りエントリーする。
(周辺のボラティリティに対して、ロウソク足の実態が長いもの大陰線・大陽線と定義して検証しています。)
検証内容
手法の検討の際、カーブフィットが生じないように気を付ける必要があります。
カーブフィット対策については、カーブフィットと対策(50冊の書籍から分析)を参照下さい。
ここでは、カーブフィット対策として、『複数通貨ペア』、『複数時間軸』のチェックを行います。
優れた手法は、通貨ペア、時間軸に関係なく機能すると考えています。
ほとんどの手法は、この『複数通貨ペア』、『複数時間軸』の検証をクリアできず、この時点で却下されます。
検証内容は、以下の通りです。
・計算方法 : EA(モデル:コントロールポイント)
⇒ コントロールポイントで問題ない手法(終値と始値でトレードする手法)
・通貨ペア : 5通貨ペア(USDJPY、EURJPY、GBPJPY、EURUSD、GBPUSD)
・時間軸 : 5分足、15分足、1時間足、4時間足
・検証期間 : 16年間(2005~2020年)
・スプレッド: 0.1pips(EAによるバックテストの最低値)
⇒ こ優位性の有無を確認する事が目的の為、スプレッド≒0の検証を実施している。
プロフィットファクターが1.0の近辺であれば、優位性なし
プロフィットファクターが1.0から乖離していれば、優位性あり
(1.0以上であれば順張り、1.0以下であれば逆張りのシステムで機能する可能性がある)
検証結果
検証結果を以下に示します。
✔ 時間足が大きくなるほど、手法の優位性が大きい
✔ スプレッド(1.0pips)を考慮しても、手法の優位性が確認された。
時間足が大きいほど、スプレッドの影響を受けにくい
スプレッド(0.1pips)
※ 本数:周辺のロウソク足の長さ(高値-安値)の平均値を算出する為の期間(本数)
倍率:平均値に対する、ロウソク足実体の長さの比(ロウソク足の実体長さ/平均ロウソク足長さ)
スプレッド(1.0pips)
パラメータ検証
パラメータを振って検証した。
✔ 少しパラメータを振っても、優位性は維持される。
まとめ
この記事では、『プライスアクション(大陰線・大陽線)』の簡易的な検証結果について、紹介しました。
私の結論は、『大陰線・大陽線のドテン売買は、優位性の可能性がある』です。
但し、優位性の可能性はあるが、このままトレード手法として用いるには優位性がやや弱い。
また優位性が低くても、トレード数が多い場合は検討の余地があるが、本手法のトレード数はそれほど多くない。
もしくは、優位性の発生源が掴めれば、他の手法に転用できるが、まだ掴めていない。
現時点では、
環境認識の一つの指標『大陽線・大陰線が発生した後は、それを打ち消す大陰線・大陽線が発生するまでトレンドが続きやすい』くらいの使い方が良いと思う。
この記事が参考になれば幸いです。
トレード手法の検証は、以下にまとめています。