7か月(2020/6/23~2021/2/1Lightシリーズ(自作EA)を運用しました。

この7か月間のリアルトレードとバックテストの比較を行った結果、大きな乖離がある事が確認されました

この記事では、リアルトレードとバックテストの比較/分析の結果について紹介します。

 

<概要> 7か月間(2020/6/23~2021/2/1)の運用結果

(1)運用実績

  ・運用成績が想定より悪い傾向であった。

    ・損益           : -6.4%(想定の下限5%)

    ・最大ドローダウン%    : 22% (想定の下限5%)

    ・最大ドローダウン期間: 6か月(想定の下限5%)

  <詳細記事>:運用状況(2020/6/23~2021/2/1)

 

(2)分析

  ・運用期間について、バックテスト、リアルトレードの比較を行った結果、両者に乖離(13%)が確認された。

    ・バックテスト  : +6.7%

    ・リアルトレード : - 6.4%

   バックテストとリアルトレードの乖離の原因について、詳細分析しました。

    <詳細記事>:この記事にて紹介します。

 

バックテスト、リアルトレードの結果比較

7か月(2020/6/23~2021/2/1Lightシリーズ(Light-α、Light-β、Light-γ)を運用しました。

その期間のバックテスト、リアルトレードの運用結果を比較しました。

 

トレード結果の比較

比較結果を以下に示します。

 

大きな差に着目すると以下の通り。

 ✔ Light-αの損益に大きな乖離(約10%)が確認された。

    Light-βの損益は、約3%の乖離、Light-γの損益は、1%の乖離が確認された。

 ✔ 結果的に、ポートフォリオのパフォーマンスも約13%の乖離となった。

※ 初期金100万円で運用した場合(合成は3つを100万円で運用した場合)

 仮に300万円(=100×3)で運用した場合のドローダウンは、表示の1/3となる。

※ Light-γのリアルトレード数は、VPSメント時の中断した影響が大きい。

 

損益カーブの比較

以下に、損益カーブを示します。

9月から11月に、15%程度の開きが発生しています。

 

リアルトレードとバックテストの差をとると

・8月~11月の間に、20%程度の開きが生じた事が分かります。

・8月~11月の間に、1%以上の損益差が生じた日が集中している事がわかります。

 

バックテスト、リアルトレードの損益差の分析

1%以上の損益差が生じた日のトレードに注目し、バックテストとリアルトレードで何が違っていたのかを確認します。

 

1%以上の損益差が生じた日の回数と合計

まずは、1%以上の損益差が生じた日の影響を確認すべく、回数と損益の合計を確認します。

 

プラスが8回、マイナスが16回で、差額は14.5%でした。

バックテストとリアルトレードの差は、この大きな差が生じた日を分析する事で分かりそうです。

 

1%以上の損益差の理由

1日で1%以上の損益が生じた日のトレードを分析した結果

 

主原因は、『エントリの有無』と『エントリポイントのズレ』でした。

 

エントリ(有無/差)の原因

エントリの差の推定原因として、3つ考えられます。

 ① 許容スプレッドが厳しすぎて、エントリされない(エントリ条件に許容スプレッドを設けている)

 ② スリッページ許容差が厳しすぎて、エントリされない(エントリ条件に許容スリッページを設けている)

 ③ 価格チャートの微妙な差異により、エントリ有無、エントリポイント差が生まれる。

 

スプレッド拡大する時間に集中していれば、①許容スプレッドが原因の可能性が高いですが、

1%以上の損益差が生じた日を分析すると、『エントリ時間はバラバラ』でした。

①許容スプレッド』が原因の可能性は低いです。

 

また、リアルトレードは外為ファイネストで運用しています。

外為ファイネストは、カウントダウン方式を採用しており、エントリ時に許容スリッページは考慮されません。

②許容スリッページ』が原因ではないと考えます。

 

 

エントリポイントは、MT4のチャート(為替レート)の影響を受けます。

バックテストは「FXDD」、リアルトレードは「外為ファイネスト」であり、価格チャートに微妙な差異があります。

エントリポイントの差は、『③価格チャートの差』が原因と推測します。

ほとんどのトレードは、リアルトレードとバックテストで差はないのですが、

価格チャートの微妙な差で、エントリに差が生じたと考えます。

 

別の証券会社のヒストリカルデータによるバックテストと比較

仮に、価格チャートの微妙な差が、損益差の原因と仮定した場合、

価格チャートの異なる別の証券会社のヒストリカルデータを用いてバックテストした結果と比較すると、

今回と同等の損益差が生じる可能性があると推測されます。

 

GMOクリック証券のヒストリカルデータを用い場合のバックテスト

GMOクリック証券のヒストリカルデータを用いたバックテストを追加しました。

 

FXDDのバックテスト、外為ファイネストのリアルトレードとも異なる結果となりました。

エントリ回数に大差はないので、微妙なトレードの差の積み重ねが原因と考えられます。

※ 初期金100万円で運用した場合(合成は3つを100万円で運用した場合)

 仮に300万円(=100×3)で運用した場合のドローダウンは、表示の1/3となる。

 

長期間のバックテスト結果

7か月の運用期間の比較では、Light-αはプラス成績ですが、Light-β、γはマイナスでした。

外為ファイネストは、ヒストリカルデータがないので、比較できないですが、

FXDDとGMOクリック証券は、長期のヒストリカルデータ(FXDD:2005年~、GMO:2007年~)があるので、長期運用した場合の結果を比較します。

 

比較結果を以下に示します。

※ 初期金100万円で運用した場合(合成は3つを100万円で運用した場合)

 仮に300万円(=100×3)で運用した場合のドローダウンは、表示の1/3となる。

※ (参考)複利運用すれば、さらに利益は大きくなる。

 

 

チャートの違いにより、7か月の運用では大きな差が生じましたが、

長期運用した場合、いずれも同等の利益を上げる結果であった事を確認しました。

 

長期間のバックテスト結果(月間ベース)

長期間のバックテスト結果を月間ベースで整理しました。(by Quant Analyzer4)

結果は、Light-α、β、γの合算です。

 

FXDD

GMOクリック証券

 

<評価>

・GMOクリック証券ベースは、昨年の後半は負け越していますが、通年では利益が出ています

・月単位では、2つの結果は結構違います。

・年単位でも、2つの結果は結構違います。

・10年以上を合算すると同じような値になります。

 

つまり、チャートの違いにより、トレード結果に大きな差が生じる事が分かります。

しかし、そのチャートの違いが、一方的に有利/不利な訳ではなく、10年以上を合算すると似たような値になります

優位性のある手法ですので、チャートの差異による結果に一喜一憂せずに、長期的な結果を信じるしかなさそうです。

 

長期間のバックテスト結果(損益カーブ)

次は損益カーブの比較を行います。

短期的には、下がったり、停滞する事はありますが、長期的には上昇している事が分かります。

 

FXDD

GMOクリック証券

 

その他の要因

以下、その他の要因を分析しています。

少し長いので結論を先に言うと、その他の要因の影響は小さいです

その他の要因分析に興味がなければ、最下段のまとめまで、飛ばして下さい

 

チャート以外のバックテストとリアルトレードの差が生じる要因について、考えます。

要因分析の為に、バックテスト、リアルトレードの特徴を比較します。

 

チャート(為替レート)以外の
バックテスト、リアルトレードの大きな違いは、スプレッドとスリッページです。

スプレッドとスリッページの影響について考えます。

 

スプレッドの影響

まず、スプレッドについて考えます。

(1)通常時のスプレッド

バックテストに使用するスプレッドは、実際のスプレッドより高い値で評価しています。

つまり、通常時のスプレッドのみを考慮すると、リアルトレードの方がよい成績になるはずです。

 リアルトレード > バックテスト

 

(2)スプレッド拡大時

値動きの激しい時間や閑散時間に、スプレッドが拡大します。

指標発表時は値動きが激しく、また、日本時間の早朝(6~8時)は市場参加者が少ないために、スプレッドが拡大します。

 

1週間(2021年2月8日~12日)のスプレッドを以下に示します。(詳細は、GogoJungleのスプレッド比較

特に日本時間早朝の7時~8時にスプレッドが拡大しています。

 

 

 

1週間(2021年2月8日~12日)スプレッド拡大値を以下に示します。

たった1週間でも、スプレッド拡大値は大きなばらつきがありました。

相当大きなスプレッドを覚悟しておく必要がありそうです。

 

スプレッド拡大時に気にすべき事は、

 ① スプレッド拡大時の損切

 ② トレード時(エントリ/決済)の不利益

 

スリッページの影響

次に、スリッページについて考えます。

 

外為ファイネストは、カウントダウン方式を採用しており、必ず約定する代わりにスリッページが発生します。

スリッページは、市場のボラティリティが高い時間と閑散時間に大きくなります。

つまり、スプレッド拡大時間とスリッページ拡大時間は一致する傾向にあります。

 

スリッページの観点からも、市場のボラティリティが高い時間と閑散時間は注意が必要です。

 

その他の要因まとめ

バックテスト、リアルトレードの最も大きな違いは、スプレッドとスリッページです。

バックテスト、リアルトレードの差の要因分析結果は以下の通り

 

(1)通常時のスプレッド

   影響 : あり(バックテストの方が不利

   理由 バックテストの方が厳しく見積もっている為

 

(2)スプレッド拡大時

  ① スプレッド拡大時の損切

   影響 : あり(リアルトレードの方が不利

   理由 : リアルトレードでは、スプレッド拡大時に損切されるリスクがある。

       (バックテストではスプレッド拡大時の影響が織り込まれていない)

  ② スプレッド拡大時の不利益

   影響 : あり(エントリ/決済のタイミングに影響

   理由 : 本EAは、許容スプレッドを設けており、スプレッド拡大時はエントリ/決済されません。

        つまり、スプレッド拡大時には、トレードが行われない為、不利益を被る事はありません。

        但し、エントリ/決済のタイミングや発生有無に影響します。

 

(3)スリッページ拡大時

   影響 : あり(スプレッド拡大時のトレードを避ける事で最小限にしている

   理由 : 本EAは、許容スリッページを設けていますが、カウントダウン方式では機能しません。

        少なからず、スリッページの影響を受けます。

        スリッページ拡大時は、スプレッド拡大時と同じ傾向にあると言われています。

        つまり、スプレッド拡大時のエントリ/決済を避ける事により、スリッページの影響を抑制することが出来ます。

 

以上より、

注目すべきは、『スプレッド拡大時のトレード』になります。

 

スプレッド拡大時のトレード

スプレッド拡大時のチェックポイント

 ① 損切の影響

 ② 決済のトレード回数(エントリ/決済のタイミングに影響

これらについて、以下で確認します。

 

スプレッド拡大時の損切の影響

バックテストとリアルトレードの損切を調査しました。

 

7か月間(2020/6/23~2021/2/1)で発生した損切は、バックテスト、リアルトレードのいずれも、22回でした。

その22回の損切の発生日と時間を表にまとめました。(1日に複数の損切がある場合もあります。)

 

<評価>

バックテストとリアルトレードで損切のタイミングは、ほとんど同じ

 つまり、スプレッドの拡大の影響ではなく、通常の値動きによる損切である事がわかります。

・日本時間の24時台の損切がやや多い。

 今回のバックテストとリアルトレードの差異には関係ないので、別途、対策時に評価する。

 

以上より、

スプレッド拡大時の損切』がバックテストとリアルトレードの差異の要因ではない

 

スプレッド拡大時のトレード回数(決済時間)

7か月間(2020/6/23~2021/2/1)のトレードを決済時間で整理しました。

 

注)本図は冬時間で評価しています。夏時間は、1時間のズレがあり、6時を7時として図に反映させています。

<評価>

 ・バックテストでは、スプレッド拡大時の7時台の決済トレードが多い

 ・リアルトレードでは、スプレッド拡大後の8時台のトレードが多い

 

本EAは、スプレッド拡大時には決済しないシステムとなっています。

つまり、本来7時台に決済するはずのトレードが、決済されず、8時台に決済されたと推測されます

 

リアルトレードの8時台のトレードの時間を確認すると、全て8:00~8:10に決済されています。

外為ファイネストは、8:00から急激にスプレッドが縮小します。

つまり、7時台ではスプレッドが拡大により決済されず、8時に決済されたと考えられます。

 

スプレッド拡大時の損益

以下に、決済時間と損益の関係を示します。

 

8時台に、バックテストとリアルトレードで差が生じています。

スプレッド拡大時のトレードは、バックテストとリアルトレードの差の要因となりそうです。

だからと言って、スプレッド拡大時に決済を許容すると、リアルトレードが不利になります。

スプレッド拡大時を避ける事で、両者に決済タイミングに差は生じますが、この差は有利にも不利にも働きます。

大切なことは、両者の差より、確実にスプレッド拡大時を避ける事と考えます。

 

スプレッド拡大時のまとめ

スプレッド拡大時のチェックポイントと評価

 ① スプレッド角田時の損切

  今回確認された損切は、バックテストとリアルトレードとほぼ一致

  バックテストとリアルトレードの差の要因ではない。

 

 ② スプレッド拡大時の決済(エントリ/決済のタイミングに影響

  バックテストとリアルトレードとで、決済のタイミングが異なる

   バックテスト :スプレッド拡大中(7時台)

   リアルトレード:スプレッド拡大後(8時台)

  トレード結果に影響するが、この結果は有利にも不利にも働くので、気にしすぎる必要はないと判断する。

  リアルトレードでは、確実にスプレッド拡大時のトレードを避ける事が重要

  但し、リアルトレードで少しでも有利なスプレッドでトレードするには、完全に避ける方が良いかも知れない(対策時に再評価する)

 

まとめ

7か月(2020/6/23~2021/2/1Lightシリーズ(自作EA)を運用し、

リアルトレードとバックテストの比較を行った結果、大きな乖離がある事が確認されました。

 

比較/分析の結果、

証券会社によるチャート(価格レート)の微妙な差』が主原因である可能性が高い事がわかりました。

但し、このチャートの違いにより、システムの優位性が崩れるわけではありません。

短期的には、チャートの違いで、結果が異なりますが、長期的(10年以上)では差は小さくなります。

 

このチャートの違いによる結果への影響については、対策できません。

対策不要です。

但し、いくつか改善点が見つかったので、Lightシリーズの改善を検討しました。