今回は、『市場時間ブレイクアウト』の検証結果について紹介します。
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市場時間ブレイクアウトとは
外国為替の三大市場は、『東京、ロンドン、ニューヨーク』と言われています。
この時間帯に市場参加者が多く、特に市場オープン時間の取引が活発になります。
ブレイクアウト手法は、市場の勢いが必要です。
市場に勢いがあるときは、前の市場時間の高値/安値を超えていきます。
このブレイクアウトを狙うのが、市場時間ブレイクアウトになります。
具体的なルールは以下の通りです。
①日本時間 : 米国時間の高値/安値をブレイクしたらエントリ、英国時間開始に決済
②英国時間 : 日本時間の高値/安値をブレイクしたらエントリ、米国時間開始に決済
③米国時間 : 英国時間の高値/安値をブレイクしたらエントリ、日本時間開始に決済
検証内容
検証内容は、以下の通りです。
・計算方法 : EA(モデル:全ティック)
・通貨ペア : 5通貨ペア(USDJPY、EURJPY、GBPJPY、EURUSD、GBPUSD)
・時間軸 : 5分足
・検証期間 : 14年間(2007~2020年)
・スプレッド: 1.0pips
検証結果
市場時間別の検証結果(プロフィットファクター)を以下に示します。
✔ いずれの市場時間のブレイクにも、少なからず優位性が存在する。
分析(ブレイク時間と損益)
本手法は優位性の可能性は高いが、その優位性は大きくない。
手法の改善を検討すべく、ブレイク時間に着目して、以下分析した。
日本時間ブレイク
<ブレイク時間と損益>
✔ 市場開始の9時、16時に利益が出ていない。
⇒9時、16時は時間帯のつなぎ目であり、手法が機能しにくい可能性がある。
英国時間ブレイク
<ブレイク時間と損益>
✔ 市場開始の16時の損失が大きい。(本検証はサマータイムを考慮しており、冬は17時、夏は16時スタートとしている)
⇒つなぎ目である16時と21時の利益が小さい。特に16時は大きく負け越している。
米国時間ブレイク
<ブレイク時間と損益>
左下にブレイク時間と損益の関係、右下にエントリ時間とトレード回数を示す。
✔ 21時はエントリ回数のわりに、利益が少ない(利益率が低い)
本手法の改善案
本手法では、市場のつなぎ目で利益が小さくなる欠点があります。
以下に改善すべき点を整理します。
本手法の改善点
(1)つなぎ目のブレイクアウト誤認識
市場時間のつなぎ目である9、16、22時は、ブレイクアウトを誤認識する可能性がある。
明確な高値/安値がある場合は、市場参加者にも認識されやすく、ブレイクアウトが機能する。(下図:良い例)
一方、明確な高値/安値がないまま市場開始時間に突入すると、市場開始をブレイクと誤認する可能性がある。(下図:悪い例)
市場参加者に意識されない高値/安値であるため、ブレイクアウトの効果が得られない。
良い例:米国時間に押目をつけており、明確な高値/安値がある。
悪い例 : 米国時間に押目がなく、明確な高値/安値がない。
(2)市場終了付近のブレイクは保有時間が短い
市場が終わる時間付近にブレイクした場合、次の市場の開始時間に決済するシステムである為、極端に保有時間が短くなる。
保有時間が短い場合、スプレッド負けしてしまう可能性が高くなる。
本手法の対策案
本手法の対策案は、以下の通り
(1)ブレイクアウトの誤認識の対策
対策 : 明確な高値/安値がある場合のみエントリする
(2)保有時間が短いことへの対策
対策 : 保有時間を長くする
まとめ
この記事では、『市場時間のブレイクアウト)』の優位性について検証しました。
本手法は、『優位性がある可能性がある事が示されました。』
問題点は、市場時間のつなぎ目です。
ここが改善されれば、優位性が向上する可能性は高いです。
トレード手法の検証は、以下にまとめています。