この記事では、資金管理の考え方について解説します。

 

FXでは、優位性あるトレードを複利を利用し、長期運用する事で成功する可能性を高くする事ができます。

資金管理は、長期運用する為に必要な条件になります。

(理屈より実戦が知りたい方は、運用状況を参照)

資金管理の目的

資金管理の目的は、撤退しないことです。

資金管理は、撤退しない為に、リスクを制限する事です。

資金管理の為に考える事は、以下の3つです。

 ・撤退基準(自分の許容リスク)の把握

 ・システムのリスクを把握

 ・システムのリスクを、撤退基準以下で運用する

 

撤退基準(自分の許容リスク)の把握

長期運用する為には、撤退しない事が条件になります。

人は、どうなれば、トレードから撤退してしまうのでしょうか?

そして、自分はどうなれば、トレードから撤退してしまうのでしょうか?

それを見つける作業が、資金管理の前半になります。

 

撤退する条件(書籍からの分析)

人は、大きなドローダウンを経験すると撤退するようです。

人は、どれくらいのドローダウンまで耐えられるのでしょうか?

いくつかの書籍を参考に、撤退条件(許容できるドローダウン)を見積もってみましょう

 

以下(1)~(6)の書籍をまとめると、

許容リスクは、トレーダ(書籍)によって大きく異なる

許容できる最大ドローダウンは30%あたりが多い

 

(1)トレードシステムの法則 : 検証での喜びが実際の運用で悲劇にならないための方法

20%のドローダウンに耐えられるトレーダはほとんどいない

リターンをX%にしたから、20%のドローダウンは乗り切れると考える人が多いが、ドローダウン期間とリターンの間に相関はない

 

(2)テクニカル分析の迷信 : 行動ファイナンスと統計学を活用した科学的アプローチ

成功しているトレーダでも30%のドローダウンを経験する

 

(3) 伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術

年間30%のリターンを望むなら、30%のドローダウン期間を覚悟した方がいい

 

(4)システムトレード 検証と実践

破産リスク:10%以下となるシステム

最大ドローダウンの中央値は40%まで受け入れる。1年間に40%ドローダウンの確率が50%

初心者は自分が耐えられると思っている最大ドルーダウンの半分しか耐えられれない

 

(5)トレーディングシステム入門 : 仕掛ける前が勝負の分かれ

ドローダウンが30~35%を超えたり、ドローダウンからの回復期間が18カ月を超えると許容できなくなる

 

(6)マーケットの魔術師 システムトレーダー編

年間30%の利益を上げて、ドローダウンを30%以下に抑えるというのが妥当な算段

20~30年間 30%の利益が見込め、ドローダウンが15%になればドローダウンは、その倍になると考えて計画する

最悪のシナリオに耐えられるだけの資金量を確保する方法を考え出す

一カ月で20%以上の損失を受ける確率が1%になるようにポートフォリオを組んでいる

自分の許容リスク

書籍に記載されているリスクは、あくまで他人の許容リスクです。

最終的には自分の許容リスクを把握する必要があります。

許容リスクは、個人の性格や状況によります。

許容リスクの目安は、日々のトレード結果を気にせず熟睡できるかどうかだと思います

日々のトレードが気になるようでは、長期運用はできません。

 

リターンとリスクはトレードオフです。

大きなリターンを得るためには、大きなリスクをとる必要があります。

しかし、期間を長くすれば、比較的小さなリスクで大きなリターンを狙う事もできます。

自分が長期運用できるリスクを見極めて、小さいリスクを長い時間をかけてリターンを膨らませるのが理想だと思います。

大切なのは、長期運用可能な自分の許容リスクを把握する事です。

 

システムのリスクを把握する

自分の許容リスクを把握したら、次はシステムのリスクを把握します。

リスクとは、最大ドローダウンの事です。

最大ドローダウンは、検証時に計算しているので、改めて計算する必要はないと考える人もいるかも知れません。

しかし、このリスク(ドローダウン)の見積もり方も、トレーダによって異なります。

 

リスクの見積もり方(書籍からの分析)

いくつかの書籍に記載されているリスクの見積もり方を以下に記載します。

 

(1)マーケットの魔術師 システムトレーダー編

2σ、3σのような、まれな大損失にであっても耐えられるようにする

5σでも破綻しないシステム

モンテカルロシミュレーションで収益の流れを組み替える。最悪の月が揃うのが、最大ドローダウンとなる

 

(2)売買システム入門 : 相場金融工学の考え方→作り方→評価法(2019.09.23)

将来の最大ドローダウンは、月間資金残高曲線の4~5σが妥当

上記より、分かる事は2つです。
バックテストの資産曲線から、標準偏差σ(ばらつき)を考慮して、最大ドローダウンを見積もる

 最悪のケースを、2~3σの最大ドローダウンというトレーダもいれば、4~5σというトレーダもいる

モンテカルロシミュレーションで最大ドローダウンを評価する方法もある。

 

 

標準偏差から最大ドローダウンを見積もる方法

バックテスト結果から標準偏差を求め、最大ドローダウンを見積もる手順を紹介します。

 単利のバックテストを実施

 Quant Analyzerを起動

Quant Analyzerは無料で多くの機能が使える優れたツールです。Quant Analyzer(インストール手順)

 Load reportをクリック

 バックテスト結果を保存しているファイルの場所を選択

 相関を求めたいファイル名(バックテスト結果)を選択 - OKボタン

下部に選択したファイルが反映される。

 List of tradesタブ - CSV保存 を選択

 CSVファイルを開くと、全トレード結果が以下のような表になっています。

表のCummulative P/L(K列)とTicket(A列)から『残差の標準偏差』を求める。

 σ = STEYX(K2:K2110,A2:A2110) :Ticketの最終値が2110の場合

 

いくつかの計算結果を表にまとめました。(例:Light-α)

資産曲線の5σは、バックテスト結果の2~4倍程度

 

モンテカルロシミュレーションから最大ドローダウンを見積もる方法

モンテカルロシミュレーションとは、取引の順番を組み替えるシミュレーションです。

取引の順番を組み替えたケースを100パターン用意すれば、100ケースの最大ドローダウンを比較する事ができます。

100ケースの最大ドローダウンを順位付けする事で、最大ドローダウンの発生確率を算出することが出来ます。

 

モンテカルロシミュレーションは、Quant Analyzerで評価する事が出来ます。

しかし、私はお勧めしません。

理由は、データを並べ替える際は、トレード間の相関が崩れないよう注意する必要があるからです

Quant Analyzerでモンテカルロシミュレーションを行う場合、全トレードをランダムで並べ替えます。

トレード間の相関が崩れてしまい、実際より甘くドローダウンを見積もる可能性が高くなります。

例えば、AとBという相関が近いシステムの場合、両システムのドローダウンは近い為、ポートフォリオの効果は小さいはずです。

しかし、全トレードを相関を無視してランダムに並べ替えると、ドローダウンのタイミングも分散されるため、よいポートフォリオになってしまいます。

 

モンテカルロシミュレーションの特徴を理解し、自分で計算すべきと考えます。(Excelで計算できます)

少しややこしいので、ここでは割愛します。

但し、モンテカルロシミュレーションをしなくても、十分に評価可能と考えます。(次の記事参照)

 

資金管理(システムのリスクを撤退基準以下で運用する)

ここまでで、資金管理に必要な材料が揃いました。

 ・撤退基準(自分の許容リスク)

 ・システムのリスク

あとは、システムのリスクを撤退基準以下になるように調整すれば完了です。

 システムリスク < 撤退基準

 

計算は、以下の通り簡単です。

例:仮に上表のUSDJPYを単利運用する場合

前提条件:撤退基準を30%、システムのリスク5σとする。

計算 : 5σのリスクは34%なので、バックテストのロットを30/34倍すればいい。

 

複利運用の場合

複利運用の場合、少し手順が異なります。

直接、複利でバックテストを行うのではなく、先に単利の資金管理計算を行い、

その結果から複利の資金管理を計算します。

 

計算手順は以下の通り

単利のバックテストから資金管理(システムのリスクが撤退基準になるように調整する)を計算する。

仮に、資金管理評価の結果、初期証拠金を100万円、単利の損切額が1万円となった場合、

複利運用では、1%(=1万円÷100万円)とすれば、安全側に見積もる事ができます。

 

問題点

今回紹介した方法では、以下の疑問があると思います。

結局、システムのリスクを何σにすればいいの

 

書籍でもリスク設定はまちまちです。その理由は、2つ考えられます。

システムにはカーブフィットが含まれ、そのカーブフィットの影響がシステムにより異なるから

最悪のリスクに遭遇する確率の設定が個人で異なるから

 

カーブフィットの影響の大きさは、システムによって全く異なります。

カーブフィットの影響はできるだけ排除してから、資金管理の評価をすべきと考えます。

そうする事で、②個人の感覚でリスクを設定する事だけ考えれば良くなります。

カーブフィットの影響の除く方法については、次の記事で紹介します。

 

まとめ

この記事では、資金管理の考え方について解説しました。

資金管理の目的は、『撤退しないこと』です。

撤退しない為は、自分の許容リスクを把握し、そのリスク以下で運用する事です。

 ①自分の許容リスクの把握(日々のトレードを気にせずに熟睡できるレベル)

 ②システムのリスクの評価(標準偏差から将来の最大ドローダウンを推定する)

 ②システムのリスク < ①自分の許容リスク

問題点 : システムのリスクにカーブフィットが含まれている。

対策  : システムのリスク評価をする前に、カーブフィットを出来る限り取り除く (次の記事)

 

以下の記事で実際に資金管理した運用を実践しています

 

 

 

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