FXでは、自分のトレードの優位性やリスクを把握するために、過去検証が必要です。

また、EAを購入して、運用する場合においても、バックテストが必要になります。

では、その過去検証に必要なトレード回数は、何回でしょうか?

 

この記事では、検証に必要なトレード回数について、まとめました。

EA開発者の視点ですので、是非参考にしてみて下さい。

 

検証の目的から、必要なトレード回数を考える

検証の目的は、トレードの優位性やリスクを把握することだと思います。

少しでもトレードに疑いがあると、長期運用する事はできないので、

確信をもってトレードする為に、検証は必須と考えています。

つまり、必要な検証回数は、そのトレードに確信をもてる回数と置き換える事が出来ます。

 

一般的に、裏付けや証拠があると、人は確信する事ができます。

スーパートレーダの中でも、確信がもてる検証回数は大きく異なっています。

検証回数に関するいくつかの考え方を紹介しますので、最後は自分が確信を持てる回数について考えてみましょう

 

検証に必要なトレード回数(書籍)

どの書籍を読んでも、『過去検証のトレード回数は増えるほど、その結果を信頼できる』というのは共通です。

しかし、具体的なトレード回数は、意外と異なっていました。

以下に、具体的にトレード回数について記載されていた書籍を紹介します。

(自分のメモに記載した値を記載しています。間違いがあれば申し訳ございません)

 

(1)タートル流投資の魔術

20回未満・・・・大きな誤差

100回以上・・・予想価値が高い

数百回・・・・ほとんどのテストで十分な量

 

(2)マーケットの魔術師 システムトレーダー編

何千のトレード試行が含まれていなくてはならない。

5000回トレード試行は自信が持てる。

 

(3)トレードシステムの法則

バックテストには、大量のトレード(数百~数千)が必要

バックテストの分散が大きいほど、サンプルサイズを大きくしなくてはならない

⇒ ばらつきが大きい場合は、多くのトレード回数が必要という意味です。

 

(4)システムトレード 検証と実践

ルールや各パラメータに対して、30~100回のトレードが必要

例えば、2つの仕掛けと2つの手仕舞のルールの場合、4倍の120~400回のトレードが望ましい

⇒ ルール数、パラメータ数が増えると、比例してトレード回数を増やす必要があるということです。

  トレード回数が増やせない場合、ルールやパラメータを減らすのは良い方法です。

 

(5)売買システム入門 : 相場金融工学の考え方→作り方→評価法

100回以上のトレード結果が必要

ルールや変数が増えると、正確な結論を得るために必要なデータ数も増える。

⇒ (4)と同様です。

 

(6)世界一簡単なアルゴリズムトレードの構築方法

サンプリング誤差の公式(1 ÷ トレード数の平方根)< 5%

⇒ 5%以下にする為には、トレード回数400回以上

 

(7)使える売買システム判別法 : 確率統計で考えるシステムトレード入門

偶然発生し得るプロフィットファクター(PF)

 PF =(サンプル数+1.96×SQRT(サンプル数))÷(サンプル数-1.96×SQRT(サンプル数))

  リスクリワード=1.0、勝率50%、PF=1.0の場合

  95%信頼(2.5%の危険率)に相当(≒1.96)

⇒ トレード回数が少ない場合、偶然に高いPFとなる確率が高くなる。

  偶然の結果に勘違いしないように、偶然発生しうるPFを把握しようとする指標

 

上記の書籍は、以下で紹介しています。

検証に必要なトレード回数(試験的)

検証にトレード回数が多いほど良いというのは分かるけど、いまいちイメージができない」という人の為に、

難しい式は一つも使わずに、試験的にトレード回数と検証精度との関係について調査しました。

 

トレード回数とプロフィットファクターのばらつき

優位性があるトレードを見つけるには、少なくとも優位性がないトレードを優位性がないと判断できる必要があります

優位性がないトレードは、ランダムなトレード(コイン投げ)です。

ランダムなトレードとして、リスクリワード(1:1)、勝率50%のトレードを仮定します。

このトレードの理論的なプロフィットファクター(PF)は、1.0です。

<プロフィットファクター = 総純益 ÷ 総損失>

 

何回トレードすれば、このトレードがPFの理論値(1.0)であることを見分けることができるでしょうか?

10回、100回、1000回のランダムトレードを、それぞれ10回行いました。

(1)10回トレード

 10回トレードのランダム検証を10回行うと、結果はばらつきます。

上記の結果を、プロフィットファクタ、勝率で整理すると以下のようになります。

PFの理論値(1.0)から大きく外れており、10回のトレードでの判断は危険であることが分かります。

 

(2)100回トレード

 100回トレードのランダム検証を10回行ったようす。

100回トレードの検証では、PFのばらつきが小さくなった事が分かります。

しかし、100回トレードでも、PF=1.3~1.4と優位性あるトレード手法と勘違いする可能性が高そうです。

 

(2)1000回トレード

  1000回トレードのランダム検証を10回行ったようす。

1000回トレードの検証では、PFのばらつきがかなり小さくなった事が分かります。

1000回トレードで、PFの理論値(1.0)を見分けられる可能性が高くなりました。

ポイント

この検証では、各トレードを10回行っていますが、過去データは1つしか存在しないので、

実際の過去検証では1回しか行う事が出来ません。

つまり、1回の過去検証でPFの真値を見分けられるまで、検証精度を高める必要があります

どれくらいの精度があれば、自分は納得するのか考えながら、続きをご覧ください。

 

トレード回数とプロフィットファクターの的中率

ばらつきを目視ではなく、数値で判断したくなると思います

そこで、10回、100回、1000回のトレードを、それぞれ100回行い、その分布を確認しました

 

(1)10回トレード

 10回トレードのランダム検証を100回の分布は以下の通り

このままでは少し分かりにくいので、小学生の時に習ったヒストグラムにまとめました。

100回の内、24回は、PF=0.95~1.05の範囲にあります。

高い精度(PF=0.95~1.05)でPFを見分けられた回数は24%(=24回/100回)と考えられます。

(2)100回トレード

100回トレードでは、PF=0.95~1.05の範囲は、31回となりました。

高い精度(PF=0.95~1.05)の回数は31%(=31回/100回)となりました。

(3)1000回トレード

1000回トレードでは、PF=0.95~1.05の範囲は、57回となりました。

高い精度(PF=0.95~1.05)の回数は57%(=57回/100回)となりました。

 

(4)トレード回数と信頼度

トレード回数とPF=0.95~1.05の範囲に入る確率を整理しました。

トレード回数が増えると、実際のPFを予測する精度が高くなることが分かります

このケースでは、理論値のPF(1.0)に対して、PF=0.95~1.05を許容範囲としました。

この理論値との差(±0.05)を許容誤差 と呼びます

仮にPFを許容誤差±0.05で、90%の確率で予測したい場合、上図を用いると必要なトレード回数は、4000回という事がわかります

この許容誤差に入る確率(90%)の事を信頼度と呼びます

 

<参考>

なお、書籍(7)で紹介した公式を覚えているでしょうか?

(7)の公式では、信頼度95%でトレード回数が6000回の時、偶然発生しうるPFは1.05(0.95~1.05)です。

上図で、トレード回数6000回の時、PF=0.95~1.05となる確率は95%です。

手順は違いますが、同じ結果になることが分かります。

 

トレード回数と許容誤差/信頼度

次に、トレード回数と許容誤差と信頼度の関係を見てみましょう

ヒストグラムで評価する範囲(許容誤差)を調整して、同じようにトレード回数と信頼度についてまとめてみました。

許容誤差が小さくなる(±0.025)と、同じ信頼度(確率)を得るために必要なトレード回数が増え、

 許容誤差が大きくなる(±0.1)と、同じ信頼度(確率)を得るために必要なトレード回数が減る事がわかります

 

手法(リスクリワード、勝率)の影響

手法(リスクリワード、勝率)が変わった場合は、どのように評価すればよいでしょうか?

(1)リスクリワードの影響

リスクリワード(R.R.)を変化させ、PF=0.95~1.05となる確率を評価しました。

リスクリワードが大きくなると、同等の信頼度(確率)を得るために必要な回数が増える事が分かります。

プロフィットファクター(PF)は、総純益/総損失という比率を表しています。

許容誤差も以下の通り、PFの比率を加味して評価します。

 ① R.R.=1.0、勝率=50% ⇒ PF=1.0 : 許容誤差(±0.05)

 ② R.R.=1.5、勝率=50% ⇒ PF=1.5 : 許容誤差(±0.05×1.5) 

 ③ R.R.=2.0、勝率=50% ⇒ PF=2.0 : 許容誤差(±0.05×2.0) 

 

条件ごとに、許容誤差を変えて、再評価した結果は以下の通り

PFの比率を考慮すると、トレード回数と信頼度(確率)の関係が一致しました。

 

(2)勝率の影響

勝率を変化させ、PF=0.95~1.05となる確率を評価しました。

(1)と同様に、PFの比率を考慮します。

 ① R.R.=1.0、勝率=50% ⇒ PF=1.0 : 許容誤差(±0.05)

 ② R.R.=1.0、勝率=60% ⇒ PF=1.5 : 許容誤差(±0.05×1.5) 

 ③ R.R.=1.0、勝率=66.7% ⇒ PF=2.0 : 許容誤差(±0.05×2.0)

 

条件ごとに、許容誤差を変えて、再評価した結果は以下の通り

PFの比率を考慮すると、トレード回数と信頼度(確率)の関係が一致しました。

 (実験的に求めているので、少しずれがありますが)

以上より、

許容誤差、信頼度、PFの目標値が決まれば、トレード回数を求める事ができます。

 

古典的統計学の落とし穴

この試験的な評価方法は、古典的な確率統計の手法です。

古典的な確率統計は、母集団が正規分布になる事が前提です

ここで示した試験的な評価は、ランダム関数てトレードを再現しております。

ランダム計算の結果は、正規分布になります。

書籍で紹介している公式も、古典的な確率統計の手法で導いております。

 

実際のトレード結果は、正規分布より、すそ野が広いと言われています。

正確な分布を考慮して評価する方法として、実際のトレード結果を用いたシミュレーションがあります。

詳細を勉強したい方は、『テクニカル分析の迷信 : 行動ファイナンスと統計学を活用した科学的アプローチ』が参考になります。

よい本ですが、値段が高く、分厚く、難しい内容ですので、そこまで拘らない人には不要と思います。

 

 

まとめ

本記事では、FXの過去検証に必要なトレード回数について、まとめました。

簡単に整理すると

 ・スパートレーダ(書籍)でも、必要なトレード回数は異なる。(100回~数千回)

 ・ルール数、パラメータ数が増えると、必要なトレード回数も増える

 ・古典的統計学に従うなら、許容誤差、信頼度、PFの目標値が決まれば、トレード回数を求める事ができる。

 ・正確な分布を考慮して評価するシミュレーションを用いた方法もある。

最終的には、各個人が信用に足るトレード回数について、考える必要があります。

この記事を参考に、トレード回数について考えてみては如何でしょうか?

 

ちなみに、私は1ルールあたり、6000回以上あると安心できます。(許容誤差±0.05、信頼度95%以上)

10年分の検証では足りないので、通貨ペア、時間足を検証対象に広げて対応しています。

初めの段階では、そこまで考慮する必要はないですが、気になる人は以下の記事を参考にしてください。

 

 

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