この記事では、ポートフォリオの組み方と評価方法について解説します。
ポートフォリオとは、異なるシステムの組み合わせの事です。
異なるシステムを組み合わせる事で、システムの性能を改善させることができます。
この記事を読むと、以下のことを理解することができます。
・効果的なポートフォリオの組み方が理解できる。
・ポートフォリオ効果の評価方法が理解できる。
Contents
効果的なポートフォリオの組み方
書籍などを読むと、『相関の低い組み合わせで、ポートフォリオを組みましょう』と記載されています。
まずは、相関について理解する必要がありそうです。
相関
相関とは、2つのシステムの間にある線形な関係の強弱のことです。
その相関の大きさを表す指標を、相関係数と言います。
例えば、2つのシステムの相関を考える場合、
エントリーポイントや損切ポイントが似ているシステムの場合、相関係数は大きく、
エントリーポイントや損切ポイントが全く違うシステムの場合、相関係数は小さくなります。
相関係数が小さい場合、ドローダウンのタイミングが異なる為、組み合わせる事によりドローダウンを浅くすることができます。
相関係数は -1.0 ~ 1.0 の間の数字で、強弱を測る指数で、目安は以下の通りです。
ポートフォリオのリスク
ポートフォリオ後のリスクは、以下の式で記述できます。
『リスクAB = √(リスクA^2 + リスクB^2 + 2×相関係数×リスクA×リスクB)』
(参考:使える売買システム判別法 : 確率統計で考えるシステムトレード入門)
ここで言う「リスク」とは、ドローダウンと考えて下さい。
ポートフォリオ後のドローダウン(リスクAB)を小さくするためには、相関係数の小さな組み合わせを選ぶのが効果的である事が分かります。
ポートフォリオ効果の評価方法
ポートフォリオ効果を評価する際に、以下の2点が気になると思います。
1. 相関係数の低い組み合わせの探し方は?
2. 具体的なポートフォリオ効果を評価方法は?
上記について、具体例(自作EA)を使い、解説します。
1. 相関係数の低い組み合わせの探し方は?
相関係数を評価する主な方法を2つ提案します。
(1)Excelでバックテスト結果を評価する。
(2)Quant Analyzer 4を使って評価する。
圧倒的に後者(2)の方が、簡単ですので、(2)の方法を紹介します。
Quant Analyzerは無料で多くの機能が使えます。(私も無料で使っています)
ご興味あれば下の記事でインストール方法を解説しています。
Quant Analyzerを使った相関係数の求め方
① 相関係数を求めたいシステムのバックテスト結果(レポート)を保存しておく
バックテスト結果(レポート)の保存の仕方は、下の記事を参照
② Quant Analyzeを起動する
③ Load reportをクリック
④ バックテスト結果を保存しているファイルの場所を選択
⑤ 相関を求めたいファイル名(バックテスト結果)を選択 - OKボタン
下部に選択したファイルが反映される。
⑥ ⑤と同様の手順で、ファイルを1つずつ選択
⑦ ファイル左下にチェックを入れ、Create Portfolioをクリック
⑧ Portfoliosタブをクリック、Portfolioが完成している。
⑩ 下図の赤枠周辺をクリックすると反映されます。
⑪ Portfolioが反映されてい事を確認し、Portfolio correlationタブを選択
⑫ Computeをクリックすると、それぞれのシステムの相関係数が求められます。
この例では、通貨ペアの相関係数を求めていますが、ほぼ相関がない事(-0.2~0.2)がわかります。
つまり、複数相関ペアでポートフォリオを組むと効果が高い事が想像できます。
2. 具体的なポートフォリオ効果を評価方法は?
『ポートフォリオ効果は、ドローダウンが小さくなること』と言われています。
しかし、ドローダウンが小さくなっても、利益まで小さくなっては意味がありません。
つまり、リターンとリスクの比率で、ポートフォリオ前後の比較をするのが良さそうです。
リターンとリスクの比率を表す代表的な指標は、以下の2つになります。
① リカバリーファクター = 純益 ÷ 最大ドローダウン
② ゲインペインレシオ = 平均年間純益 ÷ 平均年間最大ドローダウン
この2つともQuant Analyzerで確認することが出来ます。
Quant Analyzerをポートフォリオ前後の比較
① 単一通貨ペアの結果を表示
Data : 評価したい通貨ペアを選択
② Over viewタブを選択
③ バックテスト結果と同様の結果が表示され、以下で確認する事ができます。
・ RETURN / DD RATIO :リカバリーファクター
・ ANNUAL%/MAX DD% :≒ゲインペインレシオ*1
*1 分母が最大ドローダウンであり異なりますが、リスクリターン比率という意味では比較に使える指標です。(2倍くらい差がありそうですが)
④ 同様の手順で、ポートフォリオ後のリターン/リスクの結果を確認する事ができます。
⑤ ポートフォリオ前後の効果を目視で確認
以下を選択すると、ポートフォリオ前の利益曲線が確認できます。
Equity chartタブを選択
Data : Sub equities only を選択
以下を選択すると、ポートフォリオ後の利益曲線が確認できます。
Data : Portfolio を選択
3. ポートフォリオ効果の予測
以上を整理します。
ポートフォリオ効果は、リターンとリスクの比率で評価することが出来ます。
その代表的な指標は、リカバリーファクターになります。
・リカバリーファクター = 純益 ÷ 最大ドローダウン
(例)AとBのシステムのリカバリーファクターを求める場合
①純益 = (純益A + 純益B)÷ 2
②リスク = √(リスクA^2 + リスクB^2 + 2×相関係数×リスクA×リスクB)』
③リカバリーファクター = 純益① ÷ 最大ドローダウン②
ポートフォリオ効果は、相関係数だけでなく、当然ですが純益も影響します。
上式を使えば、最適な組み合わせとその比率を調整することができます。
しかし、あまり厳密な比率の最適化は、意味がないと考えています。
数式は、ざっくりした方向性を考えるうえで使う程度がよいと思います。
まとめ
この記事では、ポートフォリオの組み方と評価方法について解説しました。
・効果的なポートフォリオの組み方
相関係数の低い組み合わせを選ぶ。
厳密には、下式のリカバリファクターが大きくなるような組み合わせを選ぶ
①純益 = (純益A + 純益B)÷ 2
②リスク = √(リスクA^2 + リスクB^2 + 2×相関係数×リスクA×リスクB)』
③リカバリーファクター = 純益① ÷ 最大ドローダウン②
・ポートフォリオ効果の評価方法
ポートフォリオ前後のリターンとリスクの比率(リカバリーファクター等)で比較する
Quant Analyzerを使えば、上記の比較が可能
次の記事:準備中
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